【政界地獄耳】自民お粗末な党改革、解党した方が早い? 勉強会と称して残り続ける派閥 - 日刊スポーツ(2024年3月7日)

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自民党が17日の党大会に向け党改革を打ち出している。4日、幹事長茂木敏充は「党則、規約、ガバナンスコード(統治指針)の大幅な改定を行う」とした。翌5日、同党は24年の運動方針案を発表した。派閥の政治資金問題について「真摯(しんし)に反省し国民に深くおわび申し上げる」と謝罪した。カネや人事と完全に決別し「これまでの『派閥』から脱却し2度と復活させない」と明記した。派閥は「資金力と人事への影響力で所属議員を集め、数の力でさらに影響力を持つことを志向する集団だった」と定義し、「解体的に出直す覚悟で不断の改革努力に最優先で取り組む」とした。

★その一方、「本年中に憲法改正実現のため国民投票を通じ国民の判断を仰ぐことを目指す」とし、緊急事態条項や自衛隊の明記を挙げ、国会で「条文起草のための機関を各会派の理解を得て設置」する方針を示した。諸悪の根源は派閥だったと派閥悪を強く打ち出すが、そうなると麻生派や茂木派など現存する派閥は党の諸悪の根源ということになる。それを茂木が力説するのだから、解党的出直しというより、解党した方が早いのではないか。2度と復活させない派閥は実際は勉強会と称して残り続け、会には座長が生まれ派閥の政治団体が解散したので会計は公表されず、党が強調したところでそれが総裁選挙のための選挙マシンになることは明白。パーティーの禁止や総裁選挙のルールを変えなければ、「なぜ自民党政治にはカネがかかるのか」という命題は解決しない。

★首相・岸田文雄は2月29日の政倫審で(1)政治家本人の責任追及を可能にする仕組み(2)外部監査の導入(3)デジタル化を通じた透明化について今国会での法改正を目指すと明言したが、この部分はさして強調されてはいない。そもそも法を守れない党が憲法改正議論を声高に訴えるのは、党改革案が出来上がり、関係議員の処分が履行され、国民が納得してからではないか。改革と憲法改正は別という考えも鼻白む。(K)※敬称略