【政界地獄耳】県議会選挙前の発覚恐れ隠蔽か 沖縄米兵の性的暴行事件 - 日刊スポーツ(2024年6月29日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202406290000104.html

沖縄県基地問題に県民が批判的で反基地感情が強いのは1995年9月に起きた沖縄米兵少女暴行事件が、輪をかけたといっていい。金武町のキャンプ・ハンセンに勤務する米海軍水兵(22)、海兵隊1等兵(21)、海兵隊1等兵(20)が基地内で借りたレンタカーで、沖縄本島北部の商店街で買い物をしていた女子小学生(12)を拉致した。小学生は粘着テープで顔を覆われ、手足を縛られた上で車に押し込まれた。その後、近くの海岸に連れていかれた小学生は暴行され負傷した。日米地位協定によって3人は沖縄県警に引き渡されず、10月には宜野湾市で約8万5000人もが事件に抗議する県民総決起大会が行われ、県知事・大田昌秀も参加した。これが本土復帰後、最大規模の抗議大会となった。
★ずいぶん昔の話と思うかもしれないが、当時の小学生の同級生たちは既に42歳ぐらい。まさに小学生の親となっているし、当時の小学生の親世代は既に孫がいる世代だ。つまりあの事件は県民の多くの世代が忘れられない事件になった。そして今回、昨年12月24日。在沖米空軍兵長(25)が、16歳未満の少女と承知で同意を得ずに性的暴行したとして起訴されたが、政府は県に半年にわたり隠蔽(いんぺい)し、伝えていなかった。当然考えられるのは県議会選挙前に発覚することを恐れ、隠蔽していたと考えられる。
★県警は少女の関係者が事件当日に110番し任意で捜査し、3月11日に書類送検那覇地検が3月27日に起訴した。兵長の身柄は日米地位協定などに基づき保釈された。なぜ県警が県に報告しなかったのかも大きな問題だが、県警察本部は「今回は性犯罪であり被害者保護の観点から非公表とし、県にも報告していない」と開き直った。知事・玉城デニーは「怒り以外の言葉がない。我々も県民の安全を守る責任がある。結果的に県民に不利益を与える」としているが、26日、外務省の外務報道官・小林麻紀は「常に関係各所へ漏れなく通報が必要であるとは考えていない」としたが、県は関係各所ではなく、当事者ではないか。不愉快でならない。(K)※敬称略