【政界地獄耳】川崎重工と防衛省問題、裏ガネで日本守れるか - 日刊スポーツ(2024年7月5日)

https://www.nikkansports.com/m/general/column/jigokumimi/news/202407050000063_m.html?mode=all

★3日までの報道を総合すると川崎重工業(神戸市)は、海上自衛隊から請け負った潜水艦の修理や検査を行う神戸工場の担当部門と下請け企業との間で架空の取引を行い、捻出した裏ガネを使って商品券や生活用品、ハンマーやロープなどの工具などを購入。また飲食などに流用していたという。裏金は十数億円にのぼる見込みで、ハンマーやロープの規模ではない。今年2月に大阪国税局からの指摘で発覚。少なくとも6年前から続けられていた。同社は約6億円の法人税の修正申告をし、社内に外部の弁護士による特別調査委員会を設置し、調査を開始している。防衛省も調査委員会を設置した。
★防衛相の経験もある官房長官林芳正は4日の会見で、防衛省が隊員の自衛隊員倫理法違反の疑いなどで調査しているとし、「予算の適正な執行に疑念を招く行いがあったとすれば、極めて遺憾だ」とした。川崎重工海上自衛隊保有の潜水艦25隻のうち、およそ半数の12隻の修理を請け負っている。その修理の契約額は、年間当たり百数十億円。神戸工場にドック入りした潜水艦の乗組員は、工場敷地に隣接する同社の宿泊施設「海友館」に泊まり込み、乗組員も作業に当たる。そこにスキができたのか。それとも慣例だったのか。政治の裏金事件に明け暮れた9カ月だが、これは企業も裏ガネなのか、官庁の随意契約の闇なのか。つまり我が国は政界、産業界、官界。オール裏ガネで回っているということか。
★それにしても国税庁が指摘したのが2月。川崎重工防衛省に報告したのが4月。調査委員会発足が6月。事件発覚が7月。これが安全保障の最前線の実態だと思うと情けなくなる。古い記者ならわかると思うが新聞業界には全舷(ぜんげん)という言葉がある。新聞休刊日に部署ごとに慰安旅行に行く。元々は海軍用語で船員の半数が寄港地に上陸して休暇を取り、半数が艦に残ることを「半舷(上陸)」と呼んだことが転じて全舷となった。この上陸は何と言ったらいいのか。(K)※敬称略