【政界地獄耳】ウクライナ支援めぐり欧州混乱 その時日本は… - 日刊スポーツ(2024年6月14日)

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★G7(主要7カ国サミット)の首脳会議に出席するため、首相・岸田文雄はイタリア入りした。3日間の日程で行われるが、初日の13日はウクライナのゼレンスキー大統領がゲストだ。日本も個別に首脳会談をして10年間にわたる長期の支援を約束する。首相にとっては政治とカネの厳しい国会を抜けて、一息つきたいところだろう。実は欧州ももうすぐドイツで始まるサッカーの欧州選手権や、パリオリンピック(五輪)で政治の季節から離れるが、欧州はそんな悠長な状況ではない。
★仏・マクロン大統領は9日夜、国民議会(下院)の解散と総選挙の実施を発表。下院選は30日に第1回投票、7月7日に決選投票が行われる予定だが、パリ五輪開幕直前となる。マクロンは2期目の2年目に入ったばかりで任期はまだ3年残っているが、議会では過半数を持っていない。大統領の中道派「再生(RE)」は、極右の国民連合(RN)や野党第3党で中道右派共和党が国民連合との共闘を打ち出し劣勢にある。また9日に行われた欧州議会選挙で「再生」はマリーヌ・ルペン率いる国民連合に惨敗。欧州は極右政党や民族派政党が台頭し、保守化・右傾化が顕著化した。ことに欧州議会で主導権を握る仏・独でその傾向が強い。独も連立与党の社会民主党緑の党自由民主党が敗北。中道右派キリスト教民主同盟、右派「ドイツのためのオルタナティブ(AfD)」などが躍進。伊でもジョルジャ・メローニ首相の極右政党「イタリアの同胞」が29%の票を獲得と勢力を強める。
★いずれも背景にはウクライナ情勢がある。つまりEU欧州連合)やNATO北大西洋条約機構)のウクライナ支援策に欧州内で不満が多く、EUの極右政党の多くは親ロシアの立場で和平交渉も進めるべきと考えている。今後は欧州議会での法案の可決も思い通りにはいかなくなるだろうし、EU各国にその影響は波及する。ちょっとずれてるかな日本は。(K)※敬称略