<金口木舌>身を寄せる場所から - 琉球新報(2024年4月18日)

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数年前、夫やパートナーからドメスティックバイオレンス(DV)を受けた女性が身を寄せるシェルターを訪ねる機会があった。塀に囲まれた中庭に子ども向けの遊具があった。子どもの手を引き、逃げてきた人もいた
▼ある女性は夫に居場所を知られることを恐れ、子どもの外出を制限していた。小学生の女児は大のバスケットファン。週末の観戦を楽しみにしていたが、母親は人目につかない席を選んだ
▼離婚後の共同親権を導入する民法改正案が衆院で可決した。今国会で成立する見通しだが、DVに苦しんだ女性たちの不安は大きい。共に親権を持つ元配偶者からの暴力を恐れているのだ
▼元配偶者と日常的に会うのは「子どもにとってもストレスが大きい」と心配する親の声を聞いた。その言葉にシェルターにいた女児を思い出した
▼バスケ観戦後に女児から届いた手紙には「学校に戻ったらバスケがしたい」とつづられていた。今は高校生になっているだろう。元気でいてほしい。子どもたちが苦しむような法改正であってはならない。