【政界地獄耳】トンネルも掘れていないリニア開発 静岡県へのアプローチどころではない - 日刊スポーツ(2024年3月23日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202403230000106.html

★18日、自民党超電導リニア鉄道に関する特別委員会」委員長代理の参院議員・片山さつき参院予算委員会で質問し「(リニアモーターカーの)早期実用開始が遅れることは核融合における実用的なサプライチェーン(流通網)づくりも遅れる」と各国で開発競争が進む核融合エネルギーはリニアの超電導技術と共有しており、リニア実用化が遅れれば開発が遅れるとの懸念を表明した。

★また夕刊フジ電子版(21日)のインタビューでは「リニアの遅れは国家的損失」とし、静岡県知事・川勝平太を念頭に「次々に反対の理由を持ち出して『止めることありき』の姿勢にみえるが、もはや遅らせることに理由はないのではないか。高温超電導技術は世界的にも最新の開発が進んでいるが、すさまじくもったいない。リニアを止めることは結果的に国の最先端の重要技術の開発を止めているに等しい」とし、「省庁間の協力に加え、国が静岡側に働きかけていくことも大切だ」と訴えている。

★ただ静岡県の問題だけだろうか。最新のJR東海のホームページによれば品川駅から延びる第1首都圏トンネルは3万7000メートルの計画だが、北品川ではいまだ124メートル、トータルでも540メートルしか進捗(しんちょく)していない。第2首都圏トンネル、風越山トンネル、第1中京圏トンネルはいずれも0メートル。全長6万3500メートルの計画だが進捗率0・9%では静岡県へのアプローチどころではない。首都圏の道路や土地の陥没が住民の不安を募り、リニアだけでなく東京外環道訴訟は大深度地下使用認可と都市計画事業承認認可の違法性が住民の関心事になっており、外環道関連工事では鹿島を幹事社とする共同事業体(JV)関係者の地域住民を監視・盗撮が発覚。13日、鹿島は文書で「お住まいの方に対する礼節を欠いた不適切な表現を用いていた」と謝罪した。核融合どころかトンネルが掘れていない。(K)※敬称略