<ぎろんの森>憲法公布と「文化の日」- 東京新聞(2023年11月11日)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/289426

先週の金曜日、11月3日は「文化の日」でした。関東地方は天気も良く、連休の初日でしたので、出かけられた方も多かったと思います。

東京新聞はこの日、文章量が通常の2倍に当たる長文の社説「憲法公布の日に考える 国家の危機と『無鉄砲』」を掲載しました。


(社説)憲法公布の日に考える 国家の危機と「無鉄砲」- 東京新聞(2023年11月3日) - 子どもと法21 ブログ 
https://kodomo-hou21.hatenablog.com/entry/20231103/1698994751 

 

1891(明治24)年、来日中のロシア帝国皇太子ニコライが警備中の巡査に切りつけられた「大津事件」を巡る裁判が題材です。巡査の死刑を求める明治政府の圧力に抗し、裁判所が法律に従って無期懲役と判じて司法の独立を守ったことを取り上げ、近年の司法が政治から独立しているか問いかける内容です。

この社説に対して、読者から「東京新聞がこの日の社説で『憲法公布の日に考える』と題して論じたことは、大切なことと思い、かつ敬意を持つ」と励ましの手紙をいただきました。

祝日である文化の日は1946(昭和21)年のこの日、日本国憲法が公布されたことにちなみ、48(同23)年から設けられました。

憲法が施行された5月3日の憲法記念日と同じく、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重を三大理念とする現行憲法には重要な祝日です。

ただ、そうした意識は薄れているのかもしれません。本紙以外の在京紙で文化の日に関する社説掲載は産経新聞の「食に宿る和の心を未来へ」だけで、憲法を論じた新聞社はありませんでした。

11月3日は明治天皇の誕生日で、47(昭和22)年までは「明治節」の祝日だったことから超党派議員連盟文化の日に「明治の日」を併記する法改正を目指しています。

しかし、文化の日国民主権の現行憲法の公布にちなんだ日であり、明治憲法天皇主権とは相いれません。

本紙はこれまでも文化の日憲法記念日という節目に、現行憲法の三大理念の大切さを指摘する社説を掲載してきました。明治の日併記を目指す議員連盟の動きとは一線を画し、これからも憲法の三大理念の重要性を訴え続けたいと考えています。 (と)