<ぎろんの森>あなたの「木」は何ですか - 東京新聞(2023年10月23日)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/285401

東京新聞は、とかく忙しいこの世の中にあって、週1回でも物事をじっくり考えてもらおうと、毎週日曜日に文章量が通常の2倍の社説「週のはじめに考える」を掲載しています。15日は「どんな木を育てますか」でした。

この秋、東京都杉並区の劇場で再演されたイタリア人の手による創作劇「小さな王子さま」を紹介する内容です。

詳しくは15日の朝刊を読み返していただくとして、話の肝を紹介すると、劇中に「自分が生きているうちには見ることができない、木の育つ日を夢見て、よい種を選んで土にまいている」老人が登場して、舞台を去る際、「あんたたちに木を残せるのがわしの幸せだ」と言い残します。

社説は「あなたは次の世代にどんな木を残すのかと、問いかけてくるようです」「次の世代に大切なもの…。それは木や水、きれいな空かもしれない。人生を豊かにする思想や差別や争いのない平和かもしれない」と記します。

この社説に対する読者からのメッセージを紹介します。一人は匿名のメールです。

「ウイルス、戦争、自国主義、情けない政治家、見抜けぬ国民、お金第一主義、気候変動など、混沌(こんとん)とした世の中にあって、目に見えぬ大切なものを次世代に残そうとする働きがあることに光を感じました。私自身も次世代に向けてどんな種をまこうかと、小さなことでもよいので、自分にできる種をまくべきだと思わされました」

もう一人は本欄の右側、きょうの発言欄で、その内容を紹介していますので、そちらをぜひお読みください。

93歳になるお母さんのお話です。年齢を重ねても未来のことを考え、行動する。その姿を想像すると、こちらが感動してしまいます。

読者の皆さんはどんな木を育てたいと考えますか?

私たちが育てたい木は誰一人取り残されない社会を実現し、幸せに住み続けられる街を次世代へ手渡すことです。

一人一人が大切にされるには人権尊重が前提ですし、最大の人権侵害は戦争ですから少しでも戦争に近づく動きがあれば見過ごさず、警鐘を鳴らすのは新聞の仕事です。

日々の社説が、次世代に渡す幸せな社会という木の種、そして、自由闊達(かったつ)に意見交換する「ぎろんの森」の種になればと思います。 (と)

週のはじめに考える どんな木を育てますか - 東京新聞(2023年10月15日) - 子どもと法21 ブログ 

kodomo-hou21.hatenablog.com