【政界地獄耳】岸田首相は野党に一言も国会でしゃべらせずに冒頭解散したいはず - 日刊スポーツ(2023年9月30日)

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衆議院議長細田博之が体調不良を理由に衆議院議長を退任する意向を固めたと報じられた。いよいよ国会が始まるという時に「どうするのか」と追い込まれたのだろうか。政府は臨時国会を10月20日に召集する方針を固めた。当初は16日と言われていた召集日を二転三転させ、最後は自民党総務会長・森山裕が11月もあり得ることを示唆して翻弄(ほんろう)させられたが、政府は当初からこの日程を想定して総合経済対策を10月中に取りまとめるという発表を先行させた。

★いつどこで審議が行われるのか。首相・岸田文雄臨時国会補正予算案の提出を決めた。その間にも国民民主党の元参院議員で電機連合幹部だった矢田稚子首相補佐官に抜てきする人事のサプライズや連合との蜜月を演出。連合会長・芳野友子が再選される10月5日からの連合の定期大会に首相としては16年ぶりに出席する方向だ。当然、来年の春先に予定されている自民党大会に満面の笑みで出席する連合会長。春闘は軒並み高水準へと捕らぬたぬきの皮算用といったところか。10月22日には参院徳島・高知選挙区(同5日告示)と、衆院長崎4区(同10日告示)の補欠選挙の投開票が行われる。この補選の日程と選挙戦の状況をにらみながら幾つかのプランが用意されているのだろう。

★何よりも前回の選挙を思い出すべきだ。21年10月4日に岸田政権成立。その直後の19日に、第49回衆院選が公示された。投開票日は首相就任から27日後、14日の衆院解散から17日後となり、いずれも戦後最短の日程となった。とはいえ衆院議員の任期満了直前だったこともあるから、各候補者ともに準備不足とは言えないが、荒い日程づくりと言える。「補正の提出を明言したから冒頭解散はなくなったとみるべきか。野党に一言も国会でしゃべらせずに冒頭解散したいはず」とは自民党ベテラン議員。しばらく神経戦が続く。(K)※敬称略