<金口木舌>他者を尊重してこそ - 琉球新報(2023年9月23日)

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国連のグテレス事務総長宛てに手紙を送った学生を取材したことがある。2020年、広島での原爆死没者慰霊式・平和祈念式に参列予定だった事務総長に沖縄訪問を提案した沖国大生たちだ

▼「沖縄は今も戦争の傷痕、基地が残る。守られるべき人権が守られていない」「辺野古の県民投票があったが、平気で工事が進む。日本のおかしな事実を知ってもらいたい」。率直な思いには共感しかない
▼提案は実現しなかった。だが、思いは今、別の形で国連に届けられている。玉城デニー知事が18日から国連欧州本部で開かれた国連人権理事会に出席し、演説した。内容は学生たちの言葉と重なる
▼そこに冷や水を浴びせる人々が存在した。日本政府代表部だ。在沖米軍の駐留は「差別ではない」と反論した。性的少数者少数民族を蔑視し、差別する人物を重用する政府だ。人権感覚は疑わしい
▼翻って、私たちこそ人権感覚を研ぎ澄ませたい。他者の権利を尊重してこそ、基地問題が「人権問題」だと訴える私たちの主張はさらに説得力を増すであろう。