ダブリン国際会議 新基地反対で連帯したい - 琉球新報(2018年11月20日)

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広く海外に目を向ければ、米軍基地に対する沖縄の闘いは決して孤立していないことに気付く。
米国が国外に置く全米軍基地とNATO北大西洋条約機構)基地の撤退を求める国際会議がアイルランドの首都ダブリンで開かれた。沖縄の米軍基地問題も取り上げられ、辺野古新基地反対運動の先頭に立つ稲葉博さんが「世界の人たちと手を取り合えば、必ずこの闘いに勝てる」と訴えた。同じような闘いをしている世界の人々を前に、意を強くしたに違いない。
会議には沖縄と同様に環境汚染や騒音被害など米軍基地問題を抱える世界約30の国と地域から約230人が参加し、全世界から米軍、NATO基地の撤去を求める共同宣言を発表した。
北アイルランド問題の平和的解決に取り組み、ノーベル平和賞を受賞したマーレッド・マグワイヤーさんは「アイルランドから米軍とNATOの軍備拡張を止め、非暴力による平和的社会の実現を目指そう」と呼び掛けた。共同宣言とともにこの言葉は、沖縄の闘いと共鳴する。
主催者代表の一人、米国人のバーマン・アザットさんによる「沖縄の人々には、世界が味方に付いていると伝えたい」との言葉も県民に希望を与えてくれる。
玉城デニー知事は、「辺野古が唯一」を繰り返す日米両政府を動かそうと米国の世論だけでなく、国際世論への訴えも重視する。知事の協力呼び掛けに世界の県系人が呼応し、辺野古新基地反対を支持する声明を発表した。
玉城知事は訪米中、首都ワシントンよりも先にニューヨークの国連本部を訪れ、中満泉事務次長に「沖縄を平和の緩衝地帯にしたい」と訴えた。沖縄の基地問題を動かすには国際世論の動向も鍵を握る。
今回、国際会議が開かれた欧州は人権意識が高い。スコットランドカタルーニャなど自己決定権を行使している地域も多く存在する。
沖縄で起きている問題は安全保障の問題というよりも、自己決定権や人権の問題である。その認識を基に、翁長雄志前知事が2015年にスイスの国連人権理事会で演説し「沖縄の人々は自己決定権や人権をないがしろにされている」と訴えた経緯がある。
これまでスイスの国連機関は沖縄の基地問題に対し「現代的な形の人種差別」と認定するなど日本政府に何度も改善を勧告してきた。人権に対するメディアの意識も高い。そうした欧州メディアへのアピールや、国連機関への働き掛け、ロビー活動などは沖縄の闘いにとって有効だろう。
欧州の世論が高まれば、米国の世論も反応せざるを得なくなる状況が生まれる。国際世論を味方にするには欧州は近道かもしれない。
その意味でも今回、欧州での国際会議で基地問題を抱える世界の人々と連帯を確認したのは有意義だ。