【政界地獄耳】「国家の威信」着工遅れの万博にどれほど超過予算がかかるのか - 日刊スポーツ(2023年8月10日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202308100000076.html

★25年開催予定の大阪・関西万博は資材の高騰や人材不足などでパビリオン建設着工遅れが問題になっているが、身を切る改革の日本維新の会が大阪の威信をかけて実現させる万博。改革どころか2周遅れの昭和のイベントこそ、税金の無駄遣いという声は以前からある。ここにきて来年4月から時間外労働の上限規制が適用されるなど、建設環境は一層厳しくなる。万博サイドはこの規制から万博建設を除外せよと政府に訴えているが、万博協会の理事には連合会長・芳野友子が名を連ねており、連合のお墨付きがあれば働き方は変えられるとでもいうのだろうか。

★ここにきて自民党の元経企庁長官・船田元が「中途半端な万博しか出来ないことが判明したら、勇気ある撤退という選択肢も残しておくべきではないか」「無様な格好を世界にさらけ出すよりはマシではないだろうか」と自身のメールマガジンに持論をしたためた。政府は20年12月に「万博推進」を閣議決定している。だが大阪がサジを投げる万博の後始末に政府が乗り出すのは、国民の税金の投入にほかならず、船田の指摘に賛同する向きは多いのではないか。

★8日、自民党の大阪・関西万博推進本部(本部長・二階俊博)は会合を開き「25年の関西万博までもう1年7カ月。工事の遅れなどでいろいろ言われてますが、国家の威信をかけて成功させる必要があるわけであります」と二階があいさつ、パビリオンの建設には経産省を中心に総勢20人弱の特別チームが編成された。確かに維新だけでなく、自民党にも大きな責任がある。初代万博相は世耕弘成。18年12月の第4次安倍内閣から準備してきて、このざまならば国家の威信はどれほど超過予算がかかるのか、予算案とともに提示してもらいたい。なぜ野党は万博再評価委員会の設置などしないのか。「国家の威信」などがはびこる昭和の政治から抜け出せないのだろう。(K)※敬称略