【政界地獄耳】談合東京オリンピックの教訓、万博で生かす気もない - 日刊スポーツ(2022年12月9日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202212090000077.html

★あれだけ紆余(うよ)曲折あった東京オリンピック(五輪)・パラリンピックはアスリートの努力とは裏腹に今ではレガシーどころか五輪といえば五輪汚職と言われるほど、多くの企業や関係者が群がったことにあきれ返る。7日、公正取引委員会事務総長・小林渉は東京五輪パラリンピックのテスト大会を巡る談合事件について「世界的なイベントが久しぶりに日本で開催された。国民の注目が高い中で、独占禁止法違反の行為が行われたならば、国民生活に重大な影響を及ぼす悪質な違反と考えられる。違反行為が認められれば、告発を視野に入れて審査する」とし、一般論とした上で「(談合が)必要悪という方便は耳にするが、発注者が競争的な方法で受注者を決める仕組みである以上、談合は理由はともあれ許されない」と切れのある発言をした。

★ところが政治は全く逆のベクトルを向いている。25年大阪・関西万博を運営する「日本国際博覧会協会」が公式キャラクター「ミャクミャク」のライセンス事業について、広告最大手「電通」などで構成する共同企業体(JV)となったが万博誘致委員会のオフィシャルパートナーも電通が務めている。つまり五輪や万博などの巨大イベントは電通にしか仕切れないようだが、その電通東京地検特捜部の捜査が続いている。「確かにスポンサー集めなどにたけているのはわかるが、普通なら入札停止になるべきだ。自民党の広報戦略や選挙も電通が手伝うようだがけじめがつかないのではないか」(野党議員)。

★7日、国会内で「25年日本国際博覧会(大阪・関西万博)を成功させる国会議員連盟」が会合を開いた。あいさつした首相・岸田文雄は「新しい時代に向けた日本の国家プロジェクトだ」としたが、それなら国が全部自分たちでやるべきだ。下請けに電通パソナなどを使い、談合や中抜きなどが横行してきた五輪汚職の教訓は生かす気もないようだ。(K)※敬称略