https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1747327.html
10年ほど前、記事の内容が事実と異なるなどとして、民事裁判で訴えられたことがある。裁判では私たちの主張が認められた。ただ、判決が出るまで1年ほどを要し、「被告」という言葉に縛られた
▼1966年に静岡県の一家4人が殺害された事件で死刑が確定し、裁判のやり直しが決まった袴田巌さんの再審公判を巡り、検察側が袴田さんの有罪を立証する方針を静岡地裁に伝えた
▼検察側は「犯行の着衣」とされた衣類に付着した血痕の変色状況を改めて争うという。一家4人が殺害されるという凶悪事件。法と証拠に基づき、有罪を立証するなら理解できる
▼ただ、「犯行の着衣」については、そもそも再審請求が長く続いてきた中で争われていたものだ。「時間稼ぎにしか見えない」と怒りをあらわにする弁護団の言葉の方がふに落ちる
▼袴田さんは半世紀近く拘置された後、死刑執行は停止され、釈放された。だが、無罪は確定しておらず、いまも「死刑囚」のままだ。自由を与えられず、縛られ続ける理由は何か。検察のメンツなら許されない。