【政界地獄耳】法案提出ラッシュで見えてくること - 日刊スポーツ(2023年6月6日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202306060000085.html

通常国会は21日の会期末が見え始め、法案提出ラッシュが続いている。今国会の5大法案といわれたうち、2本が可決された。ひとつは「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律」だが、原子力発電所の運転期間の60年超への延長を盛り込んだGX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法。もうひとつはマイナンバー法改正。来年9月までで健康保険証が廃止になり、マイナンバーカードに一元化される法律だ。

★GX法は運転期間の60年超への延長が最大の眼目だが、運転開始から30年以降は10年以内ごとに点検を受けることを義務付けるという長期運転に係る規制強化も盛り込まれた一括法で、立憲民主党は対応に苦慮した。マイナンバー改正法は審議中にもマイナカードと一体化した保険証に他人の医療情報を誤連携するミスや、コンビニ交付サービスの不具合などマイナンバートラブルは後を絶たない。システムや登録の総点検を首相・岸田文雄が指示している中での可決となった。

★ほかにも「我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案」(防衛財源確保法)「性的指向又は性自認を理由とする差別の解消等の推進に関する法律案」(LGBT理解推進法)「出入国管理及び難民認定法改正案」(入管法改正)はいずれも衆院から参院に議論の場が移っているが、議論が生煮えだったり問題にふたをしたまま進めている。あえて言えば法律はできたもののどう運用するかに至っては政治の仕事ではなくなりかねない。法律さえ通ればあとは各省が運用しながらこなれていけばいいという考えかもしれないが、それでは国会で審議し議事録に残してきた意味が薄れる。政界も官界も今まで通りの審議と可決で丸く収まったなどと思わない方がいい。(K)※敬称略