【政界地獄耳】公文書をないがしろにしてきたツケ - 日刊スポーツ(2023年3月4日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202303040000053.html
★岸田政権の批判が出ているが、批判する党の幹部も相当お粗末

と言わざるを得ない。それでも「野党に任せるよりはまし」と考える人たちが多くいるが、どこかでその体たらくを反省させなければいつまでたっても自民党自体が進歩しない。自民党支持者は党が相当の人材難であることを承知すべきだ。元首相・安倍晋三の長期政権が主要閣僚や党幹部を側近で固め人材育成を怠ったからだが、ここまで劣化するともう過誤できない。

自民党参院幹事長・世耕弘成は外相・林芳正G20出席に際し参院予算委員会出席を優先すべきと野党張りの筋論を展開し、国際会議を断念させた。本来自民・自由連立政権の時に当時の自由党党首・小沢一郎副大臣の設置を要求、公務での閣僚の外遊時に副大臣などが答弁できるようにした。世耕はそれを承知で「基本的質疑は参院の質疑の中でも非常に重要度が高い」と外相の委員会出席を強要していた。ところが3日の会見では外務省から「通常の海外出張のルーティンと同じように紙が回ってきた」と弁明。これでは外務省が強く言わなかったからと言わんばかりだ。その判断ができないのなら、安倍派の領袖(りょうしゅう)になるとか、衆院に鞍替えして首相になりたいなどと寝言を言う前に重要度や優先度を学んでほしい。

★3日の参院予算委員会では立憲民主党小西洋之総務省の内部文書を元に質問したが、資料配布に理事会で与党側から「どういう文書か明確でない」と待ったがかかる。メディアは当時の総務相・現経済安保相・高市早苗の「捏造(ねつぞう)」発言ばかりだが、首相・岸田文雄も答弁で「文書の正確性などが不明であるものについて申し上げることはない」とした。文書に登場する当時の首相補佐官礒崎陽輔ツイッターで「総務省と意見交換をしたのは事実」と認めた。週明けまでの時間稼ぎのつもりか、まずは公文書をないがしろにしてきた歴代政権のツケと記しておきたい。(K)※敬称略