【政界地獄耳】自民も立民も…高市問題を巡り、続く疑心暗鬼 - 日刊スポーツ(2023年3月8日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202303080000018.html

★2日、立憲民主党参院議員・小西洋之が安倍政権下で首相官邸側と総務省側で当時の首相補佐官礒崎陽輔が「放送法の事実上の解釈変更」を求めた経緯が記されたとされる資料を公表。7日、「資料の確認」と時間稼ぎをしていた総務相松本剛明は「すべて総務省の行政文書であることが確認できた」とした。首相・岸田文雄は6日の参議院予算委員会で「放送法についての政府の解釈は変わっていない」として、報道の自由への介入にはあたらないとの認識を示した。

★経済安保相・高市早苗は文書を「捏造(ねつぞう)」とまで言っていたが、7日の会見で「私に関しての4枚については内容が不正確であると確信を持っている」とトーンダウン。ただ自ら進退についてたんかを切った分、進むも引くも厳しい立場に変わりはない。高市の評価は下がるだけだ。自民党議員が言う。「奈良県知事選候補者選定の失敗、政治資金不記載疑惑、そして今回の件と高市案件が多すぎる。これが高市つぶしなのかは分からないが、勝ち目のない戦に入り込んだのは間違いないだろう」。岸田が追い込んだのかは分からないが、文書が不正確でも安倍政権が放送法解釈変更を仕掛けたのは事実。だが放送法はゆがめられていないとなれば、今となっては高市の責任だけがクローズアップされる。

立憲民主党は小西の金星に沸いているのかと思いきや、衆院国対委員長安住淳は「なんでこれが衆院予算委員会でできなかったか」と悔やんでいる。参院ではインパクトが弱く、元同僚で自民党入りした松本も一緒に責められたと「衆院でやっていれば」との思いが強くあるようだ。だが参院では「今回の衆院予算委員会を見ていても新しい話題に飛びつくばかりで防衛費問題は生煮えだった。参院ではじっくりやる」との思いが強い。院の性質の問題もあるものの、高市問題を巡り自民・立憲両党内の疑心暗鬼は続く。(K)