【政界地獄耳】岸田首相に知恵与えた石破茂の正論 - 日刊スポーツ(2023年2月16日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202302160000065.html

★15日はさしずめ自民党元幹事長・石破茂デーとなった。朝、ラジオ日本の番組に出演。自民党がブレーキとなっているLGBT理解増進法案について「差別や区別をしては絶対いけないのは基本的人権の尊重の観点から当たり前」。選択的夫婦別姓についても「妻に『私、名前まで変えたのよ』と泣かれた」「女性がそんな思いだったことを初めて知った」など自身の経験について語った。そのうえで「社会が壊れるというなら壊れないようにすればいい」「いろいろな問題があるなら社会の方の仕組みを変える努力をしなきゃいけない」と正論を述べた。直近でここまで正面から答えた自民党議員はおらず、ベテラン政治家の見識を見せつけた。

★その後の衆院予算委員会では約10年ぶりに質問に立ち首相・岸田文雄に専門でもある防衛政策についてただした。石破は冒頭、手術直後の首相を気遣い「本会議形式になって恐縮だが、冒頭私から思いを申し述べさせていただいて、総理にご答弁をまとめてお願いしたい」と持論を展開。「なぜ大幅増額するのか、なぜ43兆円なのか。きちんと国民に説明して得心してもらう、それが政府の責任だ」「脅威とは何なのか。それは相手国を侵略しようという意図、能力の掛け算。掛け算だから片っぽがゼロならば、幾らかけても答えはゼロ。総理がご指摘のように平和国家としての歩みは変わらない。我が国は決して他国を侵略することはない。その強い意志を持つことが一番肝要と思っている」「台湾有事は日本有事というような思考をあまり簡単にすべきものではない」「軍事専門家たる自衛官が、国会においてきちんと証言ないしは答弁することが文民統制のあり方」など持論をぶつけたほか、「核なき世界」「トマホーク購入」「核シェルター」など安保政策の多岐にわたった。

★一問一答にしなかったのは首相と対決しているように見せずに知恵を与えたといえる。党内非主流派といわれる石破だが、その見識と存在感は与野党議員を圧倒した。(K)※敬称略


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