<南風>デンマークの教育システム - 琉球新報(2023年1月19日)

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17年前の2006年に、福祉を学ぶためデンマークへ留学した。約4カ月間の留学の中で、教育システムの違いには衝撃を受けた。

まず、義務教育は0年生から9年生の10年制。法律では1クラス28人が上限であり、実際には20人程度である。さらに、一貫して子どもの成長に携わるという観点から、クラス替えがなく、生徒も担任も変わらない。また、掃除や部活動もなく、運動会や文化祭などもない。そのため、日本に比べるとデンマークの方が、教師や生徒もゆとりを持って過ごしているのが私には伝わった。

この「ゆとり」は教師や生徒に限ったことではない。デンマークでは教育費は大学も含め無料である。さらに、大学などで1人暮らしをする際には生活費が8万円ほど国から支給される。このことは、子育て世代の親にとっても大きな「ゆとり」であろう。親の所得に左右されずに、子どもが自由に進学を選択することが可能となっている。また、年金や障害年金なども、十分に生活していける水準となっており、それに合わせて、原則、医療費も無料である。

そのような国からの「ハイサポート」を可能としている要因が税金である。デンマークでは所得税が55%前後、消費税が25%となっており、現在の日本の所得税5~45%、消費税10%に比べると、はるかに高い。

物価の高騰に、円安も重なり、多くの家庭では「ゆとり」が持てなくなっているのではないだろうか。そのような中で、増税と言う言葉を聞くと、もう耳をふさぎたくなるどころか、断固として反対したくもなるが、増税が問題なのか。減税すれば問題は解決するのだろうか。

私は全てが政治家の問題だとは思っていない。政治家を選ぶ権利が我々にはあり、我々はもっと多くの選択肢の存在を知ることが大切だと考える。
(神谷牧人、アソシア代表)