【政界地獄耳】突き放された衆院議長に花道論 - 日刊スポーツ(2022年5月27日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202205270000093.html

★最初は世話になり、約9年間留守を預かった清和会を元首相・安倍晋三に戻せばよかった。だが自分が大きく関わった選挙制度改革「10増10減」で安倍の地元山口の選挙区の定数が削減されることになり、衆院議長・細田博之は議長という役職をかなぐり捨ててこの制度の見直しを試みた。思えば衆院議長に推挙してくれたのも安倍だった。ところが定数見直しを理解してもらうために発言すればするほど批判を浴びた。

★「100万円しかもらえない給料」は給料が安いと怒ってみせたわけではなかった。そのくらいの給料なら「国会議員を多少増やしてもバチは当たらない」が言いたかったこと。ところが実際に議員の報酬は手取りの月給換算でも細田発言程度のはずもない。この発言は国民からも与野党からも「上級国民発言」として強い批判を浴びた。既に衆院議長が言うべき発言の度をはるかに越えていた。すると今度はセクハラ疑惑。過去の番記者や党本部の職員の話などが週刊誌に出始める。一議員ならばともかく衆院議長のスキャンダルは院の権威に関わる。選挙制度改革の話は既にどこかに行ってしまった。

★週刊誌へ抗議文を出し、事実無根を訴えるが公明党代表山口那津男までが「議長は議会の要、役割にふさわしい立場を確保していただきたい」と丁寧に説明せよと言い出した。議長がセクハラ疑惑を丁寧に説明すること自体がもう「役割にふさわしい」とは言えない。26日の衆院予算委員会で首相・岸田文雄も「まず議長において適切に対応されるべきだ」と突き放した。ベテラン議員が言う。「ここまで来たら議長が追い込まれる前にソフトランディングが必要だ。議運委員長・山口俊一細田と当選同期。早急に収拾に動くべき」。衆議院議員選挙区画定審議会(区割り審)が6月に首相へ新たな区割り案を勧告するところを区切りにする花道論もあるが、そこまで持つか。(K)※敬称略