【政界地獄耳】参院選、政党の争点などに騙されるな - 日刊スポーツ(2022年6月18日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202206180000032.html

★首相・岸田文雄は国会閉会後の会見で参院選の争点について、ウクライナ情勢や物価高が課題だとした上で「歴史を画する課題に日本がどう挑戦するのか。国民の皆さんに判断いただく選挙だ」と述べた。16日夜に首相は21日には「物価・賃金・生活総合対策本部」を設置、「電気代、食料品価格の抑制について具体的な方向性を明らかにしたい」とした。また立憲民主党代表・泉健太は「岸田首相は経済無策。立憲は物価高と闘う具体策を出している。参院選で国民に信を問うていきたい」と両党は選挙の争点が物価高にあることを強調する。

NHK世論調査によると「選挙に非常に関心がある」と答えた人は16%。「ある程度」という人と合わせても65%に過ぎず、戦後2番目の低い投票率だった前回の参院選挙の全国の選挙区の投票率48・80%を下回る懸念もある。既に投票率5割を割った段階で民意の反映とはいえないが、この関心の低さで争点などないことがわかる。16日、自民党参院選公約を発表したが、政調会長高市早苗は「自民党としてあえて争点を1つ挙げれば外交・安全保障になる」と全く別の発言をしている。

★党の発表する争点など党の都合を言っているに過ぎず、争点は有権者1人1人にあるのではないか。加えて物価高は値下がりすれば公約実現となるのだろうか。高騰するタマネギが正常価格になることと、その後の政治をいずれかの政党に託すことは関係ない。政策的に物価が下がるのなら選挙前に政府が実行すべきで、物価高は選挙の争点などではない。それならば歴代自民党政権の失政だと認めるべきだろう。高市の言うような「外交・安全保障」が争点というのもおかしな話だ。ウクライナ情勢の緊迫から次は台湾海峡だとあおり国民を脅かして防衛費を上げるならばそれに伴う増税があることも伝えるべきだ。政党の争点などにだまされてはいけない。(K)※敬称略