【政界地獄耳】国会より外遊、外遊より地元会合の岸田文雄 政治的私物化と言われても仕方ない - 日刊スポーツ(2022年6月14日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202206140000093.html

★12日、首相・岸田文雄は地元・広島で首相就任を祝う会に出席した。昨年10月の就任以来、地元の会合に出席するのは初めてというが、歴代政権は「大臣規範」を定め、「公職にある者としての清廉さを保持し、政治と行政への国民の信頼を確保する」ため、大規模な政治資金パーティーの自粛をうたっている。首相はその規範を破った。言い訳は自分で開いたのではなく広島商工会議所会頭・池田晃治らが発起人となった会合に呼ばれただけという理屈だろう。

★だが、この会合に出席するためにシンガポールで開かれたアジア安全保障会議の会期を1日残して帰国し広島に駆け付けた。そもそも国会の会期末は15日。会期中の外遊も歴代首相としては異例だが、参院選挙前に外交成果のアピールに精を出し、途中で帰国して地元の就任を祝う会に出たという政治的私物化と言われても仕方がない日程を組んだ。広島で岸田は「国際社会の平和の秩序が脅かされつつある。こうした事態を前に、私は広島ほど来年のサミットを開催するのにふさわしい場所はないと確信した」といい調子であいさつしたが、それならばアジア安保会議で防衛相・岸信夫は日米韓3カ国の防衛相会談だけでなく韓国の李鐘燮(イ・ジョンソプ)国防相との日韓防衛相会談を何としても行うべきだった。

参院選挙中ながら岸田はドイツで開催されるG7サミット(26~28日)に出席する。翌日、29、30両日にはスペイン・マドリード北大西洋条約機構NATO)首脳会議の出席も模索している。ここに韓国尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領も出席するので、日韓首脳会談が実現する可能性がある。いきなりの首脳会談はハードルが高い。露払いの防衛相会談が実現していれば選挙中の外遊も効果があったのだが。さてどうなるか。(K)※敬称略