「辺野古が唯一」威圧の言葉 乱発の異常 - 沖縄タイムズ(2017年11月8日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/167601
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普天間飛行場辺野古崎沖への移設が同飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策であることを確認する」
安倍晋三首相とトランプ米大統領は、6日の会談で再確認したという。  
日米首脳会談後の共同記者会見で、両首脳から沖縄の基地問題への言及はなかった。記者会見後の事務方によるブリーフィングでも、新基地建設に関する話は出なかった。
「唯一の解決策」の文言は、その後、外務省が配布し、ホームページにも掲載された文書に記されている。
この表現は、首脳会談の中で誰が持ち出して話題にしたのか、それとも事務方が用意した発表文書にあらかじめ盛り込まれていたのか。どちらなのだろう。 
日米両政府は、首脳会談や外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)のたびに、これでもかこれでもかと「辺野古が唯一の解決策」と確認してきた。沖縄から見るとあまりに異様な対応である。
会談の場で、本当に毎回取り上げ、議論しているのだとすれば、その部分だけでもやりとりを開示してもらいたい。米側が発表する英文も含めて公表すべきだ。
日米がそれほど「辺野古が唯一の解決策」と強調するのであれば、なぜ唯一だと言い切れるのか、なぜ九州ではだめなのか、なぜ別の方法を選択しないのか。
説明責任を果たさないまま「マジックワード」を振りかざすのは、おごりというしかない。

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外務省配布の文書には「一層の遅延が平和及び安全を提供する能力に及ぼす悪影響に留意し」とも書かれている。
これは選挙で示された民意に従って辺野古移設に反対する県や名護市に工事遅延の責任を転嫁するようなもので、これまでのやり方に対する自己反省が感じられない。
普天間飛行場の返還合意時に官房長官だった梶山静六氏が、移設先を辺野古に絞り込んだ経緯について、本土での反対運動を懸念し辺野古以外の選択肢はなかった、と書簡に記していたことが明らかになった。辺野古でならない理由は、国がいう地理的優位性や抑止力ではなく、国内の政治的理由だったのだ。
本土が嫌がるから沖縄に置くという発想は、国による「構造的差別」だ。
かつて橋本龍太郎首相は「地元の頭越しには進めない」との言葉を繰り返した。この約束が最低限の原則である。

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衆院選のさなか、東村高江の民間地で米軍のCH53ヘリが炎上した事故で、小野寺五典防衛相は原因究明までの飛行停止を求めたが、選挙が終わるやいなや米軍の飛行再開を追認した。この事故で日本側はまたもや日米取り決めに阻まれ、主権国家として捜査権を普通に行使することができなかったのである。
同盟強化が語られた首脳会談で、同盟のコストを負担する沖縄への配慮は示されていない。負担の不公平性に切り込まず、「辺野古が唯一」を強調すればするほど、基地政策への疑問は膨らんでいく。