<金口木舌>足された2文字と消された声 - 琉球新報(2021年12月20日)

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今年生まれた赤ちゃんの名前のランキング1位は男の子が蓮。女の子が紬だった。新型コロナウイルスの感染拡大で「つながり」を連想させる名前が人気になったと集計した明治安田生命保険は分析している

▼名付けは難しい。どんな人になってほしいかという思い、音の響き、漢字の意味や画数を調べて考えたいくつかの候補から一つに決める
▼政府は当初、「こども庁」としていた子ども政策の新組織の名称を「子ども家庭庁」に変更した。親への支援を強調するために「家庭」の2文字を入れた
▼虐待や貧困など子どもを取り巻く問題の解決には家庭への支援も必要だ。気になるのは「家族の絆」を重視する自民党保守派の意見をくんだという部分。「私にとって家庭は地獄だった」。当初案の「こども庁」は虐待サバイバーの声を聞き「家庭」が抜かれたという経緯がある
▼家庭に恵まれない子もいる。「家族の絆」の強調や、「親なら当然」という考えに苦しめられる親もいる。最も支援が必要な人たちの声を消す政治であってはならない。