<金口木舌>「親ガチャ」「政治ガチャ」 - 琉球新報(2021年11月17日)

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格安航空会社が、1回5千円で6千円以上のポイントがもらえるカプセル自動販売機「ガチャガチャ」を展開し好評という。関西空港発着の航空券と交換でき、カプセルを開けるまで行き先は分からない。わくわく感が高まるカプセルおもちゃは楽しい

▼同じ「ガチャ」でもネットなどで話題となっている「親ガチャ」という言葉は心が痛む。子は自分で親を選べない。人生の「当たり」「はずれ」は親と環境次第との意味
▼子が自嘲気味に使うと、親は複雑な気持ちになる。厳しい環境にあっても「自分に落ち度はない。親の問題まで背負う必要はない」と捉え直してほしい
▼どんな家庭に生まれても、自分の夢に向かって歩めるのが理想。しかし現実は高い学費から進学を断念したり、夢どころか虐待の危険にさらされたりしている子もいる
▼いくつになっても無料で学び直しや大学で学ぶことができ、子どもも大人も貧困や虐待のケアがいつでも受けられる仕組みが必要だ。ところが、日本は貧困の連鎖を断ち切る施策が乏しい。弱者が生きにくい社会。私たちは「政府ガチャ」に苦しんでいるのかもしれない
▼県は今年から11月17日を「子どもの権利の日」と定めた。子どもの権利保障や虐待防止の啓発活動をするという。「親ガチャ」と子どもに言わせない社会となるよう、機運が高まればいい。