https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1330066.html
「君がイエスと言えば、僕はノーと言う」「君が止まれと言えば、僕は行けと言う」。ザ・ビートルズのハローグッバイの歌詞だ。ポップなメロディーが印象的で、楽曲を聴いたことがある人も多いはず
▼楽曲制作の過程では、世の中の相反する言葉を出し合いながら歌詞をつづったとされる。登場する2人の会話はすれ違い、「僕」は「なぜなんだ」と嘆く
▼同じすれ違いで見過ごせないのは、県教育委員会が実施した部活動実態調査の結果だ。信頼関係の有無や体罰の解決に関する項目で、生徒と指導者の間で認識の差があった。教育の一環の部活で、生徒が指導者を信頼できず体罰などが残るとしたら「なぜ」と頭を抱えたくなる
▼以前、取材した指導者は体罰を行わないことが信念だった。一方で期待する生徒には厳しい言葉を投げ掛けていたという。チームは強くなったが徐々に笑顔がなくなり、厳しい言葉を受けた生徒は去って行った
▼その指導者は生徒と気持ちがかみ合っていなかったことを悔やむ。「厳しいだけではなく楽しさも伝え、生徒の背中を押す存在になるべきだった」と自戒を込めた
▼県内では現在、県高校総体が開催されている。主役である生徒たちと、指導者はすれ違ったままになっていないか。同じ方向を見つめて競技に打ち込んでいるか。部活動の在り方を、改めて考える大会になってほしい。