【政界地獄耳】五輪とワクチンで暴走する首相 閣僚は黙って従うのか - 日刊スポーツ(2021年5月25日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202105250000052.html

★2紙が現状を刮目(かつもく)しているといっていい。1つは信濃毎日新聞の23日付社説「東京五輪パラ大会 政府は中止を決断せよ」だ。要旨を抜粋すると「7月23日のオリンピック(五輪)開幕までに感染状況が落ち着いたとしても、持てる資源は次の波への備えに充てなければならない」「医療機関以外で亡くなる事例を、政府は把握しきれていない」「ワクチン接種の足取りは鈍い。予防効果が高まるとされる『集団免疫』の獲得はおろか、開幕の時期までに高齢者への接種を終えるめども立っていない」。

★「コンパクト五輪、復興五輪、完全な形での開催、人類が新型コロナに打ち勝った証し…。安倍晋三前首相と菅首相らが強調してきたフレーズは、いずれもかけ声倒れに終わっている」「国民みんなの五輪」をうたいながら、当初の倍以上に膨らんだ1兆6440億円の開催費用の詳細を伏せている。大会に伴うインフラ整備が、人口減少社会を迎える国の首都構想に、どう生きるのかもはっきりしないなど招致から現在までの問題点を網羅。その解決策も見ないまま、開催に突き進む政府に厳しい論調で直言している。

★一方、24日付読売新聞には「周囲の制止振り切り突っ走る首相、高齢者接種『7月完了』譲らず…」とあり「6月に1億回分のワクチンが来るのが分かってるんだ。思い切ってやるぞ」とする首相・菅義偉の号令とともに「高齢者の接種完了時期を『7月末まで』」と明言するのは首相の独断と焦りと指摘。ワクチン相・河野太郎がいさめる場面が描かれている。「普段は暴走する河野をみんなで止めるのに、今回は、その河野が首相を止めようとしている」と記事はまとめられている。政権の浮揚策に五輪とワクチンを活用しようとして暴走していると2紙は首相に冷静さを求めるが、今は勢いより立ち止まることだろう。閣僚は黙って従っていていいのか。(K)※敬称略

 東京五輪・パラ大会 政府は中止を決断せよ(信濃毎日新聞の23日付社説)

www.shinmai.co.jp

周囲の制止振り切り突っ走る首相、高齢者接種「7月完了」譲らず…[政治の現場]ワクチン(24日付読売新聞)

www.yomiuri.co.jp