【政界地獄耳】五輪、強行しても中止にしても菅政権は退陣しかない - 日刊スポーツ(2021年5月11日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202105110000103.html

自民党中堅幹部が言う。「もちろんコロナ禍の克服、ワクチンを国民に素早く接種させることは大切だが、ここまでくればオリンピック(五輪)の中止が政治日程にあがってくる。国民の6割、世界のメディアが中止せよと叫ぶ中、『安心・安全の大会』などと言っていることがかなりずれていることは週末、地元に帰ればわかることだ。たぶん野党の議員もそうだろうが、地元で『五輪中止すべき』と聞かない日はない。無論、国会でも会う人会う人から同じことを言われる。『五輪はやるのでしょうかねえ』との問いにも『まさかやるはずありませんよね』という雰囲気が伝わる」。

★当然、その政治日程、つまり五輪中止を宣言するのは結構だとしても、政権には厳しい評価が待っている。無論「中止は当然」という世論の中に「もっと早く判断できたのではないか」「税金の無駄遣いがあったのではないか」、少数ながら「ここまできて、やめるべきではないのではないか」など決断への評価が分かれるだろう。そのいずれも、政権の意思決定のタイミングや、決断の根拠、今までの政府の説明との整合性が問われるはずだ。

★それに加え、ワクチン接種の遅れが追い打ちをかける。ワクチンがいきわたった国々は経済活動を順次、再開させるだろう。その時、スタートダッシュにも後れを取ることがわかっているとなれば、「五輪強行、五輪中止、いずれを決断しても政権はその責任を取らざるを得ない。強行しても失敗した五輪と言われれば評価にはなるまい。つまり菅政権はどちらを決断してもその責任は退陣しかないのではないか」(野党幹部)。それに五輪がなくなれば、7月からパラリンピック終了予定の9月までが空白になる。そこで自民党総裁選挙や解散の日程は大幅に書き換えられるのではないか。もし、首相よりも先に中止を都知事小池百合子が言い出してもその責任は同罪だ。(K)※敬称略