(政界地獄耳) 今年は歴史に残る失政の年 - 日刊スポーツ(2020年12月31日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202012310000132.html

★今年の政治を振り返る時2つの失敗に収れんされるのではないか。ひとつは首相の交代。7年半余り続いた安倍政権は首相・安倍晋三の病気を理由に唐突に終わった。当時、首相周辺議員は「働きすぎで今にも倒れそうだ」と言い出し、辞任したもののしばらくすると、けろっとして周辺議員と会食し始めた。つまり1次内閣の辞任のイメージを利用して国民に心配させ、放り投げることを不問に付させようとしたのではないか。

★前首相の醜態はそれだけではない。首相は加計学園獣医学部新設計画は17年1月20日、国家戦略特区で認可された当日に初めて知ったと国会で言い張ってきた。それと同じ要領で「桜を見る会」前夜祭の支払い方法を検察に言われて「初めて知った」と言い出し秘書のせいにした手法と同じだ。それで「説明責任を果たした」というのだから恐れ入る。

★一方、後継の首相になった菅義偉は総裁選挙で出馬表明する前から、多くの派閥が菅後継を言い出す異様な選挙になった。幹事長・二階俊博の根回しが功を奏したのだが、党内は今「こんなはずではなかった」との思いだろう。「たたき上げ」「令和おじさん」「パンケーキの菅さん」のイメージで政権運営や選挙ができるなら苦労はしない。官房長官時代「全くあたらない」「承知していない」「指摘はあたらない」「問題ないという報告を受けている」と問いに答えない手法でかわすことだけ覚え、首相になってからは「答弁を控えさせていただく」を加えた。問いに正面から向き合うことをしなくなったおかげでまともな記者会見すら開けなくなり、国民との対話のない首相となった。そしてもう1つの失敗は2人の首相のおかげで、コロナ禍の対策のほぼすべてが後手後手か失敗、税金の無駄遣いの連続だったことだ。今年は歴史に残る失政の年といえよう。(K)※敬称略