(政界地獄耳) 選挙の顔にならない「ガースーです」 - 日刊スポーツ(2020年12月14日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202012140000128.html

★前首相・安倍晋三政治の継承を錦の御旗に首相になった菅義偉。もしかしたら1年間だけの暫定首相という密約があったかもしれないし、無論選挙に勝てば続投という芽もあったかもしれない。ところが「みなさんガースーです」では党内からも選挙の顔にならないという声が出始める。確かに安倍政治を引き継いだ当初は内閣支持率が高かったが、今は低下の一途を続けている。「安倍の持つ、世襲議員独特の余裕や自信が前首相の魅力だったが、菅の魅力は何か。党内にも国民にも人気がないとなれば顔はすげ替えられる」とは党内ベテラン議員。

★最近は「菅・二階VS安倍・麻生・岸田の戦い」と首相、幹事長・二階俊博対前首相、副総理兼財務相麻生太郎、元外相・岸田文雄で党内二分され内乱勃発かとの見方が出ている。いわば菅の総裁選挙勝利は二階と安倍、麻生の利害が一致していたが、菅が首相という最高権力についたこと、安倍が元気になって菅のポジションを脅かす格好になったことで、暫定首相サイドのクーデターが起き、「桜を見る会」問題が急浮上したとの見立てがそういう構図を作らせた。

★だが、それでは自民党の議員や地方議員は総裁選挙のからくりを何も知らずに「安倍後継は菅」といって無防備に飛びつき、今では後悔しているという、なにやら間抜けな扱いではないか。この双方の戦いは極めてお粗末といえる。まず(1)この10年、中枢の顔触れが同じという政権幹部の権力闘争が続いているだけということ。(2)安倍は夫人の振る舞いから森友・加計疑惑が生まれ、「桜」では秘書の不始末と身内の不祥事ばかりだが、いずれも安倍のためにしていることではないかということ。一方、菅・二階ラインもGo Toなど利権臭にまみれているのではないか。どちらが競り勝とうが国民のためになりそうもないところが絶望させる。(K)※敬称略