(政界地獄耳) 国民の五輪熱低下 どう響くか - 日刊スポーツ(2020年7月25日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202007250000082.html

★世界でのコロナ禍の猛威で東京オリンピックパラリンピックは来年まで1年延期となったが国民の熱は冷めているようだ。18、19日の朝日新聞の全国世論調査で五輪開催について3択で問うと「来夏に開催」は33%、「再延期」32%、「中止」29%と意見が割れた。17日から3日間おこなったNHK世論調査では「開催すべき」が26%、「さらに延期すべき」が35%、「中止すべき」が31%となり、いずれも再延期か中止という声が多い。

★GoToキャンペーンなど政府が税金を投入して独自で展開する景気回復策はお粗末でも、直前に企画を変えても、国民が選んだ政府のやることだから、腹立たしくてもあきらめがつく。だが五輪は世界の国、団体、競技者、スポンサーがさまざまな意見を持ち、IOC国際オリンピック委員会)とともにJOC、政府、東京都が知恵を出し合って調整し、最終的な方向を導かなくてはならない。そこで主催国や主催都市の市民があきらめていることがどう響くのか。関係者は口を閉ざしたままだ。

★五輪関係者が言う。「無論コロナ禍の収束が最優先だろうが主催国の国民はIOCの顔色やアスリートたちを気遣って楽しみにしていた五輪をあきらめようとしているのだろう。実はアスリートたちもこの状況で世界中の選手が参加できるとも思っていないし、参加者が少ない中での大会ならばいっそ中止の方がと考える人たちも多い。その一方、マイナー競技の選手たちは大きな舞台がなくなることを不安に思う。年齢の壁を感じて引退を余儀なくされる選手たちもつらいだろう。だが一番腹立たしいのは政治のゲームや駆け引きに使われることだ」。この采配で世界のリーダーシップはどこにあるかわかろうというものだが、来年開催の準備を進める中、国民の声はどこに届くのか。(K)※敬称略