(政界地獄耳) 解散風とコロナウイルスの行方 - 日刊スポーツ(2020年6月20日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202006200000148.html

★国会が閉会すると同時に前法相・河井克行・案里夫妻が先の参院選での選挙違反の容疑で逮捕された。自民党や官邸は2人が離党していること、国会が閉会していることなどを勘案して直ちに重大な局面になるとは考えていないようだ。一方、首相・安倍晋三と副総理兼財務相麻生太郎、党幹事長・二階俊博と麻生らが会談を繰り返しているのは、この局面を乗り越えて政権の体制をどう立て直すか、そのためには解散風を吹かせ、内閣改造を示唆して党内の締め付けを始めたといえる。

★確かに絶体絶命と思われた森友・加計学園事件を乗り切ってきたこの3人にとって、河井事件は取るに足らない問題にうつるかもしれない。だが法相の任命責任、1億5000万円の選挙資金の拠出については、党内からも批判が多い。加えてこの事件と並行していた東京高検検事長・黒川弘務の定年延長問題とその先に控えていた検事総長人事をあらためて俯瞰(ふかん)してみれば、政権への激震は免れない。もっとも政権擁護の大手メディアは、その相関図を思い出させるような記事よりも首相の憲法改正への思いを共有したいようだ。

★解散風は「早ければこの夏から秋に」「来年の1月、国会の冒頭解散」「予算成立後」などにぎやかだが、自民党総裁任期が21年9月。首相は18日の会見で、総裁4選を可能とする党則改正に関しては「これを変えようということは全く考えていない」とした。一方、東京都議会議員は来年7月が任期満了。衆院議員の任期は同じく来年10月だ。総裁任期を残すところ1年の首相がいつ選挙を仕掛けるか、そもそも首相が解散を打てるのか。自民党は安倍総裁で選挙を戦えると考えるのか。そこでもうひとつ考えるべきは、コロナウイルスの第2波、第3波の行方だ。「秋口から来年の今ごろまでコロナの危険は続く」と言われる。悩ましい判断だが、官邸や党幹部に今までの強気な戦い方ができるかは、これからの党内空気次第だろう。(K)※敬称略