(政界地獄耳) 疑惑とコロナ 会期延長もろ刃の剣 - 日刊スポーツ(2020年4月30日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202004300000045.html

★29日、昭和の日で祝日ながら国会は補正予算審議のため衆院予算委員会を開き質疑を行った。注目すべきは国民民主党代表・玉木雄一郎の質問だ。財務官僚出身の玉木は手続きの仕組みを熟知し運用の改善策や税法上の取り扱い、予算枠の拡大など多岐にわたり補正予算の在り方とスピード運用への知恵を出しながら、政府与党の取り組みに協力するとエールを送りながら建設的な意見を述べた。

★また、日本維新の会を含む野党5党でまとめて共同提出した「事業者家賃支払い支援法案」などを例に閣僚との議論というよりも、国民民主党の政策案を述べたようにも聞こえるが、今は使える知恵を出し合うときとするなら、玉木は政府与党にも影響を与えたであろう。共産党委員長・志位和夫も質問に立ち、「日本の補償は世界に誇る休業補償なのか」とただすと首相・安倍晋三は「手厚さ」を自慢したが、志位から「1回こっきりではないか」と切り返された。結果、補正予算案は全会一致で可決された。

自民党は6月17日までの国会会期の延長を模索し始めた。政府は、このまま国民にいくら払い続けていけばいいのかと不安だろうが、予定通りに国会を閉じたら新たな補正予算や措置法は審議できない。国会は閉じてはいけないのだ。会期幅などの詳細はこれからだろうが、今後の財政出動など考えれば、政府と国会には覚悟が必要だろう。ただ、アベノマスク転じてムシノマスク、カビノマスクとやゆされた国からのマスク配布の業者に不可思議な部分があるなど、コロナ禍でも政府に疑惑が噴出、既に疑義がある桜を見る会森友学園事件、検察官定年延長法案など、政府の弱点となるテーマも多くあり、官邸としては大幅会期延長はもろ刃の剣ともなりかねない。また、政局の動向次第では政権が揺らぐ場合もあり、与党は大幅延長、官邸は慎重にという運びになるのではないか。しかしコロナ対策に停滞は許されない。(K)※敬称略