(政界地獄耳) 衆院静岡補選が盛り上がらなかったワケ - 日刊スポーツ(2020年4月28日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202004280000049.html

★本来なら、安倍政治の是非を問う場になるはずだった、26日投開票の衆院静岡4区補選。自民党の元環境相望月義夫の死去に伴う補欠選挙だ。構図は自民党新人で元県議の深沢陽一に公明が推薦を出し、立憲民主、国民民主、共産、社民の野党4党が統一候補として推薦した無所属新人で元東京都議の田中健との与野党対決だったが、自民候補が勝利。投票率は34・10%で、17年衆院選を19・62ポイントも下回った。

★ただ、実態は与野党激突などなく、緊張感に欠ける低調な選挙となった。メディアはコロナ禍の影響や外出自粛など異例の選挙として扱ったが、19日に行われた東京都目黒区長選挙の投票率は前回の26・02%を上回る33・33%と、過去最高を記録。お隣韓国の総選挙も15日、コロナ禍の中で行われたが投票率は66・2%、28年ぶりの高水準と地元メディアは伝えた。先が見えないコロナとの闘いに国民が政治に関心を持つのは当然で、政府のコロナ対策が当初は争点となるはずだった。自民党候補は限定的30万円給付を訴え、野党統一候補は一律10万円を訴えていたが、選挙中に中央政界の激変で一律10万円に落ち着き、双方の争点が消えた段階で選挙戦はぐずぐずに。

★ネットを使った選挙戦もお粗末で、自民党候補は手作りマスクを作ってみせ、野党候補は連日、各党党首クラスとネット対談をしたが、有権者の関心は深まらなかった。政界関係者が言う。「自民党は望月の弔い選挙だったが、望月と後継者はさほど近い関係でもなく、地元スポンサーが引き続き支援するというので決まった。後継を前面に出す空気ではなかった。一方、野党統一候補は元環境相細野豪志の元秘書で、野党や連合静岡にはくすぶるものもあり、一枚岩になり切れなかった。そもそも野党は立憲、社民、国民がひとつにまとまって共産と組んでいたら、違う選挙になっていたかもしれない」。そうすると、この低調さは政党の身から出たさびということか。(K)※敬称略