森友文書改ざん 佐川氏の喚問が必要だ - 東京新聞(2020年3月24日)

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森友学園を巡る財務省の公文書改ざんは、行政に対する信頼を損ねる重大な問題だ。再調査はもちろん、佐川宣寿元理財局長の証人喚問など、国会の国政調査権に基づく真相の徹底究明が必要だ。
文書改ざんを強いられた財務省近畿財務局職員の遺族が国と佐川氏を提訴したのに合わせて公表した職員の手記には、改ざんは「すべて(当時の)佐川理財局長の指示です」などと記されていた。
手記が公表された以上、再調査すべきは当然だが、安倍晋三首相は拒否している。きのうの参院予算委員会でも、再調査を求める野党議員の質問に「麻生太郎財務相の下、事実を徹底的に調査し、明らかにした。捜査当局による捜査も行われた」と答えた。
確かに、財務省は二〇一八年六月四日付で、文書改ざんに関する調査報告書を公表している。
佐川氏の関与については「一連の問題行為は、国有財産行政の責任者であった理財局長が方向性を決定付けた」「国会審議をさらに紛糾させかねない対応は避けるべきであり、(国会に要求資料を)提出する前に中身をよく精査すべきとの指示をしていたものと認められる」などと記してはいる。
しかし、報告書は佐川氏が文書改ざんの方向性をどのように決定付けたのかや、直接指示の有無については明らかにしていない。
そもそも財務省の調査は内部調査にすぎず、事実関係の特定が難しく、推認も盛り込んでいるとした上で「今後、新たな事実関係が明らかになる場合、さらに必要な対応を行っていく」とも記す。
「すべて佐川理財局長の指示です」と記された手記が公表され、新たな事実関係が明らかになった以上、再調査を拒む政府の姿勢は理解しがたい。財務省は内部調査にとどまらず、外部の専門家による再調査を行うべきではないか。
野党側は参院予算委で、佐川氏や関係する財務省職員、首相夫人の安倍昭恵氏の証人喚問や参考人招致、集中審議の開催を求めた。国会は、国政調査権を駆使して真相を究明すべきであり、与党も応じるべきなのは当然だ。
改ざんは首相が一七年二月、森友学園への国有地売却に「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」と国会答弁したことが、すべての始まりだったとも指摘される。
文書改ざんに至る過程で首相ら政権中枢の関与は本当になかったのか。佐川氏の指示の有無とともに解明されなければならない。