新型コロナ特措法成立 生活制限 県内も危ぶむ声 - 信濃毎日新聞(2020年3月14日)

https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20200314/KT200313FTI090036000.php
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新型コロナウイルスの感染拡大に備える改正新型インフルエンザ等対策特別措置法が可決、成立した13日。首相による「緊急事態宣言」が可能になり、過度な私権制限にもつながりかねない内容に、県内から懸念の声が上がった。自民党が緊急事態条項を盛り込んだ改憲を目指している点を念頭に、「地ならしのよう」と反発する声も出た。
「こういうときだからこそ映画を見たい人もいる。その生活と時間が奪われるとすれば違和感がある」。長野市の映画館「長野相生座・ロキシー」の支配人、田上真里さん(48)は言った。同法に基づく緊急事態宣言が出ると都道府県知事が住民に外出自粛を要請でき、学校や福祉施設、映画館などの使用停止を求めたり「指示」したりできる。
館内で消毒や換気を小まめに行うなど対策に気を使っている。「法律ができることでさらに自粛の深刻度が増すのではないか」とも心配した。
既に政府は、法的な裏付けがないまま小中高校、特別支援学校の臨時休校や全国的なイベント自粛などを求め、混乱も生じている。中学3年の娘を持つ安曇野市の女性会社員(49)は「何かを要請するにしても、納得できるよう説明を尽くし、困る人に対して補償や受け皿をあらかじめ準備するべきだ」と憤る。
「居酒屋もパチンコ店も営業しているのに、学校だけが休みなのはつじつまが合わない」と女性。「やみくもに自粛を求めるのでなく、根拠を示して本当に必要なところに対象を絞り、支援もしてほしい」と求めた。
憲法に関する学習会などを開く有志グループの共同代表で、街頭活動もしてきた平沢文彦さん(58)=下伊那郡阿南町=は「審議をほとんどせずに決めてしまった。拙速だ」と与野党の姿勢を疑問視。自民党が目指す改憲を念頭に「ウイルス対策ならしょうがない―という空気の延長に、緊急事態条項を加える改憲があるのではないか。私たちを慣らすようで嫌な感じがする」と懸念した。