(政界地獄耳)プーチン提案は安倍後の議論なのか - 日刊スポーツ(2018年9月14日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201809140000207.html
http://archive.today/2018.09.14-031116/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201809140000207.html

★22回の会談は、決して親密な関係など作れなかったのではないか。ロシアを訪問した首相・安倍晋三に対し、ロシアは経済協力を求め、資源保全を求め、そして担保として安全を求めた。つまり北方領土問題の裏テーマは米軍の基地。つまり在日米軍がどっかりと腰を下ろしている日本や、北方領土の返還後に日本政府の本意ではないとしても、米国が在日米軍基地を北海道や北方領土に設営したらどうするかという、ロシアとしては極めて現実的な質問に、日本政府が答えてこなかったからだ。

★ロシアサイドはさまざまな提案をしたが、日本サイドは何も答えなかったといっているようだ。12日夜のロシア大統領・プーチンの発言。「安全保障は重要だ。あなた(司会)が言った(米軍が北方領土に進出する可能性についての)議論もしている。当然、米国のミサイル防衛システムを含む多くの軍事協力について懸念しないわけにはいかない。平和条約を結ぼう。今ではないが年末までに。あらゆる前提条件なしで」。

プーチンの思い付きではないだろう。それどころか、1つの回答を導き出した。中国との合同軍事演習を実施しながら、「晋三がアプローチを変えようと提案した」という。つまり晋三が決められないのならば、こちら側で決めてやるということではないか。軍事演習は、昔で言う砲艦外交のようなものだ。日米同盟、日米安保を抱えている日本は、米国の合意なくして北方領土の返還などない。日露の議論でなく、露米の話だと言いたげだ。

★首相にこの問題の当事者能力は既にない。ところが今、安倍外交以外では、日米地位協定見直し、すなわち日米安全保障条約について、議論を深めるべきとの提案がある。それは自民党総裁選や沖縄知事選挙での議論だ。プーチン提案は安倍外交では進まない、安倍後の議論だとでも言いたげだ。(敬称略)(K)※敬称略