代表質問終わる 不遜な首相の答弁態度 - 東京新聞(2020年1月25日)

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安倍晋三首相の施政方針演説に対する各党代表質問が終わった。首相の答弁は、都合の悪いことには口をつぐみ、説明に努めようという姿勢は見られない。国民の代表である国会への冒涜(ぼうとく)である。
二〇一二年発足の第二次内閣以降、七年以上にわたる長期政権の驕(おご)りは極まったと言わざるを得ない。きのう終わった各党代表質問に対する首相の答弁である。
野党側は、「桜を見る会」の問題や、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)に絡み現職の秋元司衆院議員が逮捕された汚職事件、公職選挙法に違反する可能性がある「政治とカネ」の問題で二閣僚が相次いで辞任したことなどを追及した。
首相は代表質問前に「堂々と政策論争を行いたい」と語っていたが、政権が行政に関する正しい情報を国会に開示して、疑問に誠実に答えるか否かは、議会制民主主義の根幹に関わる重大な問題だ。
首相が施政方針で、桜の「さ」の字も、カジノの「か」の字も触れなかった以上、野党側が厳しく追及するのは当然である。
しかし、首相の答弁は木で鼻をくくったかのようなものだった。
立憲民主党枝野幸男代表は、首相が桜を見る会に地元支援者らを多数招待したことが公選法違反に当たるのでは、とただしたが、首相は招待客は内閣府内閣官房が決めるので公選法違反との「指摘は当たらない」と突っぱねた。
枝野氏が昨年の招待者名簿の再調査と開示を求めても、首相はすでに廃棄済みとして拒否。廃棄した証拠となる履歴(ログ)の開示要求にはシステムに不正侵入される可能性を理由に拒んだ。
その答弁姿勢からは、事実を調査し、国民の疑念を晴らそうとする姿勢はまったく感じられない。
IR汚職に関しても同様だ。
国民民主党玉木雄一郎代表がIR事業の凍結を求めたが、首相は逮捕された秋元氏を副大臣に任命した責任は認めつつも、捜査中を理由に詳細なコメントを拒み、引き続きIR事業を推進する考えを強調した。
与党公明党の斉藤鉄夫幹事長は「長期政権の緩みや驕りを排し、謙虚さと誠実さを持って政権運営に当たり、国民の信頼回復に努めるべきだ」と指摘したが、首相は答弁で触れようとしなかった。
国民の批判や疑念と誠実に向き合わないのは長期政権の弊害そのものだ。週明けから始まる国会の予算委員会で、引き続き厳しく追及されるべき課題である。