(政界地獄耳) 菅迷走 安倍政権に定見なし - 日刊スポーツ(2019年12月21日)

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★既に政権の矜持(きょうじ)や定見などはなくなっている。官房長官菅義偉の会見のお粗末さへの感想だ。ついこの間まで「何の問題もない」と記者の質問をあしらっていた同一人物とは思えない迷走ぶりだ。ことに「桜を見る会」についての質問は極端に曖昧になり過去の自身の発言をも否定しかねない混乱を続けている。今思えば「桜を見る会」の招待者名簿の電子データは「復元しない」などの理屈もなく拒否する乱暴ぶりはまだいい方だった。

★最近の傾向は反社会的勢力とは何かの問いに「その時々の社会情勢に応じて変化し得るものであり、限定的・統一的な定義は困難」とか、07年の安倍内閣で反社を「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団または個人」と定めた指針については「まったく変わっていない」といいながら、反社との関係について「お困りであれば警察にご相談いただければ」といい、政府として立脚できなくなっている。

★首相・安倍晋三夫人・昭恵の扱いについては森友・加計学園疑惑当時から、その関与を隠そうとする意図があるのか「公人ではなく私人」と政権に都合よく使い分けてきたが、夫人の公用車の使用状況について「(質問の)意味するところが明らかでない」として回答を拒んだ政府の答弁書に関し、菅は「過去の質問書でも公用車の定義はさまざま」と定義が定まっていないと逃げ始めた。

★そしてついに五輪観戦の「首相枠」や「首相官邸枠」「議員枠」があるかの質問主意書には「『首相枠、官邸枠および議員枠』の意味するところが明らかではないのでお答えは困難」、昭恵の日当や交通費については「範囲が明らかではないため、お答えは困難」と公文書を全部黒く塗りつぶしたような説明を始めた。議員の質問主意書閣議決定される。つまり各閣僚が全員同意したことと考えれば、この内閣が既に答弁能力を持ちえない内閣だということがわかる。年の瀬、政権にも寂しい空気が流れている。(K)※敬称略