(政界地獄耳)政府と官邸は国民の「おかしい」を侮るな - 日刊スポーツ(2017年11月24日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201711240000234.html
http://archive.is/2017.11.24-021837/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201711240000234.html

★「適正な価格で売却した」。首相・安倍晋三や所管官庁の財務省などはこう国会で説明し続け、首相の激高するさまや高級官僚たちがこぞって「何の問題もない」としていた根拠が、22日に会計検査院が「値引きの根拠が不十分」などとする報告書を提出したことで崩れたといっていい。国民の多くが、官僚の政権への忖度(そんたく)があったのではないかと思っていた森友学園の国有地売却は、会計検査院の高い独立性とともに、官僚たちのウソがばれるという致命的な失態につながる。
★そもそもこの一連の国会質疑のやりとりによって、首相はウソをついているのではないかとの疑念が広がり、内閣支持率は急降下した。森友学園疑惑は今でこそ国有地払い下げ疑惑だが、当初は学園の幼稚園で教育勅語を暗記させるなどの異様な教育方針、小学校建設では首相夫人・安倍昭恵が名誉校長に名を連ねたり、幾度も講演に訪れるなど、不見識や脇の甘さが問題視された。官僚が官邸からの圧力、もしくは忖度して虚偽答弁や資料や公文書の破棄を進め、森友学園に小学校を結果的に格安で建設させ、認可に至るプロセスで、官僚のみならず国会議員や地方議員も関与したことなどが発覚している。
★それでもとぼけて押し切ろうとしていたことに、国民は「何かおかしい」と感じていたわけで、衆院選での自民党の圧勝、野党の分断・崩壊で忘れ去られようとしていた森友学園疑惑は振り出しどころか、隠蔽(いんぺい)工作をした分だけ、事態が深刻になり、今後は責任問題が浮上するだろう。政府がなお「問題なし」と言い続け、幾人かの官僚に訂正、謝罪させたところで、実態は解明されない。そんな調子ならば選挙前の支持率低下の再燃も予測され、政府と官邸の出方や対応が注目されるが、安易な幕引きはマイナスに働くだろう。国民の「何かおかしい」を侮ってはいけない。(K)※敬称略