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「ピザの注文をしたい。届け先は…」。女性からの突然の電話は、かけ間違いだと思うのが普通だろう。米オハイオ州の緊急通報番号「911」のオペレーターが異変を感じ、女性宅に警官の派遣を手配したニュースがネットで話題になっている
▼日本では、10歳の少女の精いっぱいのSOSを受け止められなかった。ことし1月に千葉県野田市で栗原心愛(みあ)さんが虐待死した事件で、児童相談所などの対応を調査していた千葉県検証委員会は報告書を公表した。本人からの訴えはまれで「何としても守られるべきで、救える命だった」と強調した
▼心愛さん一家は糸満市で暮らしたこともある。親族は市の窓口で父親から母親へのドメスティック・バイオレンス(DV)と心愛さんへのどう喝を相談したが、市と学校は本人に聴き取りをしなかった
▼全国の児童相談所が2018年度に児童虐待で対応した件数は15万9850件(速報値)。統計開始から28年連続で増加している。沖縄県は1100件で、初めて千件を超えた
▼「911」のオペレーターから番号の間違いを指摘された女性は訴えた。「あなたは分かってない」。オペレーターは助けを求めていると察し、家庭内暴力の男の逮捕につながった
▼さまざまなSOSを敏感に受け止めることは、虐待根絶への一歩になる。「救えた命」の重みを決して忘れてはならない。