(政界地獄耳) 機密費支払い?立証の術なし… - 日刊スポーツ(2019年11月22日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201911220000109.html
http://archive.today/2019.11.22-004324/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201911220000109.html

★首相・安倍晋三は連日「桜を見る会」の説明に追われている。官房長官菅義偉も首相を守るために防戦を強いられ、存在を否定した首相の妻、昭惠夫人枠なるものまで官僚に暴露されている。会見で菅は「私人である昭惠夫人が人選に関わった」ことを問われると「最後は内閣官房が精査する」と答えたが、すなわち自分と首相の両方に責任が発生する。自民党幹部は「首相と官房長官の関係は2閣僚が辞めた時以上にギクシャクしている」と内情を明かす。

★ただ、野党は今後攻めあぐねる可能性がある。いずれも状況証拠だけで確認ができないことばかりだ。野党国対関係者が言う。「首相は8日の参院予算委で『招待者の取りまとめには関与していない』と明言しながら20日参院本会議で『事務所から相談を受ければ推薦者について意見を言うこともあった』とあっさり関与を認めた。メディアは発言の修正としているが国会での発言、虚偽答弁だ」と息巻くが、追い込んでもそれ以上に進まない。国民も森友・加計学園疑惑でいやというほど、野党の立ち往生を観させられた。

★確かに私物化は言えるが「桜を見る会」の前日のいわゆる前夜祭なるホテルのパーティー公職選挙法政治資金規正法に抵触するのか、野党が立証するのも、安倍サイドが問題ないと立証するのも難しい。結局、結論にたどり着かないと国民は無駄に時間を費やしたと感じるようになり、首相への同情に戻ってくる。早期に首相が関与など認め、招待客の選び方がずさんだと示唆するのも、先を見ての発言と見受けられる。だがホテルが補塡(ほてん)した、安倍事務所が補填したという性善説を仮定するから壁にぶち当たる。最初から官邸機密費がホテルに支払われていれば説明がつくのではないか。金額が足りたとか足りないとかの問題より悪質だが、それも立証する術はなく首相が別の部分の非を認めることで、機密費の運用という公金の私物化への疑惑をそらした可能性はないか。やはり検証の術はない。(K)※敬称略