(政界地獄耳) 麻生太郎の憂鬱 景気上がらぬ言い訳 - 日刊スポーツ(2019年11月11日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201911110000126.html
http://archive.today/2019.11.11-012954/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201911110000126.html

★首相・安倍晋三予算委員会でのヤジや、ダメ閣僚が辞任してからもポロポロと疑惑が報道されるなど、精彩を欠く第4次安倍第2次改造内閣だが、もう1人浮かない大物閣僚がいる。副総理兼財務相麻生太郎だ。何より安倍、麻生、官房長官菅義偉、党幹事長・二階俊博の4人の微妙なバランスの上に立脚していた極めて不安定な内閣だ。それを首相秘書官兼首相補佐官・今井尚哉が的確に配牌(はいぱい)してここまで来た。

★ところが今井は経産省資源エネルギー庁次長までやった男。この国会では早々に関西電力幹部らが福井県高浜町の元助役から多額の金品を受け取っていた問題にかかりきりになり対策を講じている間に菅系の閣僚の失敗は続く。首相は側近の文科相萩生田光一が口を滑らせた「身の丈発言」で歴代清話会の文科省利権を探られ、ついには加計学園の大学設置疑惑まで再燃し始めた。こうなると内閣は何をやってもうまくいかない。麻生が憂うのも当然だ。

自民党関係者が言う。「そんなことじゃない。麻生は派閥の後継問題で派内から突き上げられている。『まさか防衛相・河野太郎にしないだろうな』とか『党税調会長・甘利明に派閥を譲るなら派を出る』などと言われている」。こちらは党総務会長・鈴木俊一に譲って落ち着かせるだろうが、もう1つ、「景気が上向かない問題だ。消費税を上げた弊害が年末から年始の落ち込みで分かってくる。アベノミクスが成功したなんてもう誰も思っていない。これから『途中までうまくいっていたが、全国で毎年続く大規模災害がボディーブローになった』と失敗の言い訳を言わないといけない時期が来るのではないかと憂鬱(ゆううつ)なのだ」(自民党閣僚経験者)。政権の火種はくすぶり続ける。(K)※敬称略