<金口木舌>不当な働かせ方に「ノー」を - 琉球新報(2019年8月31日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-980812.html
https://megalodon.jp/2019-0831-0910-52/https://ryukyushimpo.jp:443/column/entry-980812.html

「クソ田舎モンが調子にのるな」。那覇市内の飲食店でアルバイトをしていた大学生が賃金の未払い分を請求したところ、オーナーから容赦ない返信が届いた。この飲食店では雇用契約やタイムカードもなく勤怠管理は「LINE」のみ

▼大学生は泣き寝入りしなかった。全国でアルバイトの問題に取り組む労働組合「ブラックバイトユニオン」とつながり、組合の働き掛けによって賃金を支払わせることができた
長時間労働、賃金未払い、バイトを辞める時に損害賠償を請求するといった行為が「ブラックバイト」の特徴。全国的な問題になっており沖縄も例外ではない
▼沖縄労働局が2016年に県内の大学生らを対象に実施した調査で、アルバイト経験のある学生のうち40・5%が「雇用契約以上の長時間労働」「一方的なシフト変更」などの不当な扱いを経験していた
▼「ブラックバイトユニオン」の今岡直之さんは観光業などサービス業は人件費を抑えないと収益が上がりにくいため「ブラックな働かせ方が起きやすい」と指摘する。サービス業が盛んな沖縄。過酷な労働環境を放置しない手だてが必要だ
▼今岡さんは、採用時に労働契約を記した書面をもらうよう促し、何かあれば「専門家に相談して」と呼び掛ける。不当な労働環境に「ノー」を突き付けたい。賃金未払いを許さなかった学生の勇気を糧にして。