<金口木舌>労働者の権利 - 琉球新報(2019年10月11日)

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スペインでタクシーに乗った。運転手が信号待ちのたびにイヤホンとマイクを使い、誰かと電話している。よく聞くと予約を受けているようだった。前日から労働組合ストライキに入っていた。管理職が現場に出て、予約も受けていたのだろう
▼欧州では労働者の権利について理解が深いといわれる。ストは公共交通機関を含め、日本より頻繁に行われる。生活に影響が及ぶが、市民の反発は少ないという
▼日本はどうか。8月に東北自動車道佐野サービスエリア(栃木県)の従業員がストライキに入り、店舗の営業が2日間停止した際には一部メディアで利用者の不満の声が報じられた。経営者が別の従業員らを使って店舗を再開したが、ストは39日間続いた
▼総務部長の解雇に端を発したストだった。9月下旬に従業員が職場復帰を果たして収束した
▼飲食業のクライマックスコーヒーが8月に閉店した店舗で働いていた学生らが、未払いの賃金支払いを求めている。学生らはブラックバイトユニオンに加入して対応を検討するという
▼春田吉備彦沖縄大学教授は「労働組合の組織率が低い沖縄では労働者による経営者のチェックが甘く、労働法に違反する企業が目に付く」と語る。労働争議や組合活動になじみの薄い人もいるだろう。しかし労働者が支え合うことが権利を守る近道であることに変わりはない。