元家裁調査官で、NPO法人非行克服支援センター相談員の伊藤由紀夫さんは「十四歳はまだ子ども。大丈夫かどうかの見極めは難しい。もう少し詳しく二人から聞き取りをしても良かった」と指摘する。
伊藤さんは四十年近く、非行少年に寄り添ってきた。最近は高齢化や核家族化で、子どもたちが親族らの葬式に出席する経験が少なく、人の死と向き合う機会が減っているとし「命の重みを感じにくくなっている」と危惧する。
今回の少年も「刺したらどうなるかまでは考えられなかったのではないか」と推測。「家庭や学校で、成績や進学先の方が重要とされ、交換がきかない命について、話し合う機会が薄れているのでは」と話す。