丸山議員に糾弾決議 維新の責任で辞職説得を - 毎日新聞(2019年6月7日)

https://mainichi.jp/articles/20190607/ddm/005/070/078000c
http://archive.today/2019.06.07-010906/https://mainichi.jp/articles/20190607/ddm/005/070/078000c

戦争で北方領土を奪い返す趣旨の発言をし、日本維新の会を除名された丸山穂高衆院議員の糾弾決議が衆院の全会一致で可決された。
決議は「国会議員としての資格はない」とした事実上の辞職勧告だ。丸山議員はこれを重く受け止め、潔く辞職すべきである。
与党は野党の辞職勧告決議案に同調せず、厳しく叱る「けん責」にとどめる決議案を提出していた。間をとる形で糾弾決議に落ち着いた。
発言から1カ月近くを要したものの、衆院としての意思表示がなされたことは評価できる。国家間の対立を戦争で解決することを容認したと受け取れる発言に対し、「憲法の平和主義に反する」との見解を国会が明確に示した意味は大きい。
丸山議員の発言は北方四島ビザなし交流の訪問団に参加した際のものだ。飲酒して卑わいな発言をし、禁じられていた外出を強行しようとして団員らともみ合いになった。決議はこれらの言動が「本院の権威と品位を著しく失墜させた」と断じた。
驚くのは本人にその自覚がないことだ。戦争発言は謝罪、撤回した一方で、衆院議院運営委員会の聴取に応じず、同委に提出した弁明書で「刑事事件や違法行為があったわけではない」などと反論した。
選挙を通じて国民から負託を受けた国会議員の身分は確かに重い。特定の言論を理由に数の力で辞職を強いてはならないことは、「反軍演説」で知られる斎藤隆夫を除名した戦前のあしき前例が教えている。
しかし、丸山議員の言動は言論の名に値するものではない。決議の提出理由には「議員としてというよりも人間としての品位を疑わせる」と異例の非難が盛り込まれた。
丸山議員が初当選したのは関西を中心に維新が躍進した2012年衆院選だ。政党が前面に出た選挙戦を展開しておいて、除名して済まそうというのなら無責任である。維新は辞職の説得に力を尽くすべきだ。
維新ではほかにも参院選の公認予定者が被差別部落への差別を助長するような発言で謝罪に追い込まれた。自民党でも12年初当選組が「魔の3回生」と呼ばれ、女性問題などで辞職や離党するケースが相次ぐ。
擁立した候補者の質に最後まで責任を負うのは政党だ。