[丸山氏糾弾決議]真摯に受け止め辞職を - 沖縄タイムス(2019年6月7日)

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衆院は6日の本会議で、北方領土を戦争で取り返す是非に言及した丸山穂高衆院議員=日本維新の会を除名=に対する糾弾決議を全会一致で可決した。
「国会議員の資格はないと断ぜざるを得ない」と非難した上で、直ちに自らの進退を判断するよう促した。決議は当然で、丸山氏は速やかに辞職すべきだ。
衆参両院事務局によると、国会議員への糾弾決議は初めて。
丸山氏は、5月に北方領土へのビザなし交流訪問団に同行した際、国後島の宿舎で酒に酔い、元島民の訪問団長に「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」などと質問した。
領土問題を戦争によって解決することを肯定するかのような発言は、「不適切」や「失言」のレベルではなく、国会議員としての見識・資質を欠いたものだ。
決議では「憲法の平和主義に反する発言をはじめ、議員としてあるまじき数々の暴言を繰り返した」と批判。さらに、「衆院の権威と品位を著しく失墜させたと言わざるを得ない」と強調した。
憲法9条では、戦争放棄を明文化しており、丸山氏の発言は、憲法の趣旨にも反する。糾弾決議に法的拘束力はないが、国会の総意は重い。
丸山氏の発言を巡っては、維新を含めた野党6会派が提出した議員辞職勧告決議案、与党のけん責決議案をそれぞれ取り下げ、与野党で糾弾決議案の共同提出となった。問題の放置を避けるため歩み寄った形だ。

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丸山氏が戦争に言及した後も、「女性のいる店で飲ませろ」という趣旨の発言をして、禁止されている宿舎からの外出を試みたり、下品な発言を繰り返したりしたことも明らかになった。
浅はかな言動は言語道断だが、一議員の失態で済まされる問題ではない。
ビザなし交流は1992年、北方領土問題の解決へ、元島民と北方四島に住むロシア人との交流を通じて、信頼関係を築くために始まった。平和主義を貫きながら重ねてきた交流は、関係者の努力のたまものでもある。
そういう場で、戦争で解決しようと口にすることは、関係者を傷つけるだけでなく、国の信用も脅かす。
決議でも「日本とロシアの重大な外交問題に発展しかねない問題行動」と指摘する。
あらためて憲法がうたう平和主義に基づく外交の意味が問われよう。

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糾弾決議の可決後、丸山氏はツイッターで「任期を全うし前に進んでまいります」と辞職しない考えを示した。
国会に3日提出した弁明書では、一連の言動を謝罪した上で「違法行為はない」「人民裁判的な決定を行う言論府となることが危惧される事態だ」などと反論し、辞職を拒否していた。
糾弾決議を突き付けられた以上、真摯(しんし)に受け止め、自身の立場を認識しなくてはいけないはずだ。
決議に追い込まれる事態を招いた意味を分別できない国会議員はいらない。