(政界地獄耳) 官邸対皇室のバトルは残ったまま… - 日刊スポーツ(2019年5月1日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201905010000241.html
http://archive.today/2019.05.01-011408/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201905010000241.html

★平成最後の日の朝刊各紙の見出しは「天皇陛下 きょう退位」が並んだ。産経だけは「譲位」を使った。16年8月8日の「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」から今日まで、さまざまな譲位を巡る議論が続いた。産経新聞校閲部は同年10月「天皇陛下天皇の位を譲る意向を示されている問題を報じる際、今後は『生前退位』という言葉を使わず、原則として『譲位』とします」と宣言した。

★陛下もそう考えておられたし、皇后さまがお誕生日にあたり「大きな衝撃を受けた」と文書で述べられたように、生前退位という言葉は使われてこなかった。だが政府見解は今年3月6日の参院予算委員会で首相・安倍晋三天皇陛下の代替わりに伴い「退位」との表現を用いることに関し、「今回の皇位継承天皇陛下がその意思で皇位を譲るものではなく(退位実現の)特例法の直接の効果として行われることを踏まえ『譲位』ではなく『退位』が適当と考えた」との考えを示した。憲法を理由に天皇の意思があってはならぬとお心を封じ込めたといってもいい。「皇位を譲るのではなく皇位を降りる」ことで政治的発言ではないとしたのだろう。

★では昨日30日の朝日の朝刊のトップ記事はどう読めばいいのだろう。「首相が3月29日の皇太子さまとの面会で、『令和』を含む6つの原案を示していたことも判明した。憲法4条は天皇の国政関与を禁じている。皇太子さまは即位を目前に控えた立場だが、政府は『意見を求めず状況報告するだけなら憲法上の問題は生じない』(内閣法制局幹部)。これに対し、高見勝利・上智大名誉教授(憲法学)は『皇太子への事前説明は、元号の制定を天皇から切り離した元号法の運用を誤るものだ。憲法4条は政治の側が天皇の権威を利用することも禁じている。特定の政権支持層を意識した首相の行為は、皇太子に意見を求めたかどうかに関係なく『新天皇の政治利用』にあたり、違憲の疑いがある』」と書いた。官邸対皇室バトルを残したまま、きょう、令和元年を迎えたことになる。(K)※敬称略

関連) 

元号案、首相指示で追加 「令和」3月下旬に中西氏提出
令和 - 朝日新聞(2019年4月30日)

http://archive.today/2019.04.30-022802/https://www.asahi.com/articles/ASM4Y4DGHM4YUTFK00M.html