(政界地獄耳) 安倍面会は皇室の政治利用ではないか - 日刊スポーツ(2019年4月1日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201904010000078.html
http://archive.today/2019.04.01-004321/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201904010000078.html

★今日4月1日の昼前に新元号の発表がある。1979年(昭54)に制定された元号法では第1項で「元号政令で定める」。第2項で「元号皇位の継承があった場合に限り改める」とあるだけで元号とは何かという定義もない。法制後、当時の大平内閣は閣議で留意事項を決めた。(1)国民の理想としてふさわしいようなよい意味を持つものであること(2)漢字2字であること(3)書きやすいこと(4)読みやすいこと(5)これまでに元号又はおくり名として用いられたものでないこと(過去の元号の再使用は不可)(6)俗用されているものでないこと(人名・地名・商品名・企業名等は不可)。

★先の改元昭和天皇崩御と平成天皇の即位が立て続けで、自粛ムードも相まって政府は極めて粛々と改元の手続きを行ったといえる。今回は手続き上も新元号は最終的に閣議で決まり天皇陛下政令に署名して発表になる。メディアも改元で浮かれすぎといえ、政府も外務省では新元号が発表された後、日本が承認する195カ国に対し、新しい元号を一斉に通知するなど祝賀ムードいっぱいだ。

★だが、法整備があいまいだからと首相・安倍晋三は皇太子さまに2月22日、3月29日と立て続けに面会するなど天皇の譲位と改元発表で極めて特異な動きを取り、官房長官元号発表の直後には首相が談話を発表するとともに新元号に込めた意義を説明し、国民へのメッセージを告げるという。意見を言うなど関与できない皇太子さまと面会し、あたかも相談したかのような演出をするのは政権の皇室の政治利用の最たるものではないのか。ルールがないから時の政権独自の演出がまかり通るならば皇室という伝統は崩れ去る。浮かれるのも結構だが、政府は新元号を定着させ国民の生活になじませ安定させることが最大の仕事ではないか。(K)※敬称略